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ツイッターでは呟ききれないものを書くところです。好きな作品の話をたくさんしたいです。

【第一回】怪物と黒崎一護

一発目になるBLEACH考察記事です。

フランケンシュタインの怪物の仮装をしている黒崎一護をご存知でしょうか?
BLEACH379話(44巻)「Falta de Armonia」でハロウィンモチーフの見開きカラーイラストがあり、キャラクター達は魔女、狼男、吸血鬼などの仮装しています。

その中でもフランケンシュタインの怪物の仮装をしているのが黒崎一護です。

44巻のほかにもJET一冊目(一護、恋次日番谷藍染が表紙裏表紙)の192,193ページに収録、またアニメBLEACH304話アプリBraveSoulsの方でもパロディ扱いとして放送されたりガチャやイベントで登場しているので見たことのある方は多いと思います。


今回は本格的な記事のスタートとして「フランケンシュタインの怪物に扮する黒崎一護」について両者の共通する出生を中心に展開していきます。
共通点?作者がなんとなく描いたものなんじゃないのか?たまたまでは?という声もあがると思いますが、そうかもしれない、違うかもしれないという軽い気持ちで見ていただけると幸いです。

  1. フランケンシュタインの怪物」とは?
  2. フランケンシュタインの怪物」のあらすじ
  3. BLEACH 黒崎一護の出生」
  4. この2つの共通点
  5. 科学者(創造主)とそれにまつわる諺・慣用句

 

 

 

フランケンシュタインの怪物」とは?
さてまずフランケンシュタインの怪物とはいったい何なのか。
昨今様々な映像化、舞台化がされている「フランケンシュタインの怪物」ですが原作はイギリスのメアリー・シェリーという作家によって書かれたものです。噛み砕いてあらすじを書きますが詳しくは述べません。Wikiのリンクをこちらに貼っておきます

ja.wikipedia.org

フランケンシュタインの怪物」のあらすじ
北極探検隊の隊長ウォルトンが姉に向けた手紙の中に北極海衰弱した男性を見つけ助けたという話があります。
その助けられた男性=科学者ヴィクター・フランケンシュタイン(以下科学者と省略)は自然科学を学んでいたが、ある時から生命の謎を解き明かし自在に操りたいと狂気的な研究を始めます。「理想の人間」の設計図を完成させた科学者は神に背く行為である自覚を持ちながら実行に移り、自ら墓を掘り人間の死体を集め化学と錬金術を駆使しつなぎ合わせ怪物の創造を成功させました。
 誕生した怪物は優れた体力と人間の心と知性を持ち合わせましたが、繋ぎ合わせた肉体の細部の再生が不十分のため醜い姿になります。科学者はあまりのおぞましさに絶望し、怪物を置き去りにして故郷へと逃亡しますが、怪物は強靭な肉体で生き延び、科学者の元へ向かいます。
道中で言語を習得し教養を身に着けていき、科学者にたどり着いた怪物は人間たちに拒絶され迫害を受けます。孤独の中自己の存在に悩む怪物は科学者に「自分の伴侶となり得る異性の怪物を一人造ってほしい」と要求し「願いを叶えてくれるのなら二度と人前に現れない」と約束します。
科学者はそれを受け入れもう一人の怪物の創造に取り掛かりますが、さらなる怪物の増加を恐れ要求を拒否し作りかけていた物を海へ放り投げました。怪物は科学者や人間に絶望し復讐を始め周りにいた人間を次々と殺害します。憎悪にかられた科学者は怪物を追跡しますが北極海の船上で息を引き取ります。その船の持ち主が上記にあったウォルトンでした。
科学者の遺体の前に現れた怪物は創造主から名も与えられないまま死を嘆き、ウォルトンに自らの心情を語り、北極点で焼身自殺を図るために北極海へ向かう姿が記され物語が終わります。


作中では怪物と呼ばれてはいなかったのですが(科学者はクリーチャー、悪霊、幽霊、悪魔などと呼んでいる)、科学者フランケンシュタインによって創造されたことにより「フランケンシュタインの怪物」として序々にこちらの方で定着していったようです。
上記の通り死体の寄せ集めである怪物には母親と呼べる存在がいません。「母親のいない子供」のメタファーとして扱われることもあります。

BLEACH 黒崎一護の出生」
これがBLEACH黒崎一護とどんな共通点が見つかるのでしょうか。
黒崎一護の生い立ちはまず死神の祖*1である五大貴族志波家の分家筋:志波一心と滅却師の純血:黒崎真咲が両親になります。
藍染が崩玉を作るにあたって何百という死神と死神の才がある魂魄を削り取り一つに纏めたものから人工的に生み出された虚は、死神虚化実験のため死神を襲います。
担当区域の死亡率の高さに自ら現世に赴いた一心の前に虚が戦いを仕掛けます、始解した一心に背後から藍染が傷を負わせ力を十分に発揮できない時に滅却師である真咲が乱入します。
標的を死神から滅却師に変更した虚は真咲の魂魄に転移します。虚化状態になり魂魄の崩壊寸前である真咲の魂魄自殺を防ぐために一心は人間の魂魄を元にした義骸に入り紐付けをし死神であることを失います。一心は姓を志波から黒崎に変えそして一護が生まれます。

滅却師の始祖であるユーハバッハ復活のための聖別によって虚を宿したことのある真咲は不浄対象として力を失いそこに居合わせたグランドフッシャーにより魂魄は消滅し、一護は母親を失います。

虚は藍染らによって「ホワイト」という名前を与えられます。しかしホワイト自身は尸魂界篇で朽木白哉の「何者だ」という問いかけに「名前なんて無ェよ」と返し、そして破面篇になると「俺が斬月だ」とも言います。

この2つの共通点
全部が全部同じとは到底言えませんが

  • 死体(魂魄)を集めて繋ぎ合わせる
  • 化学(死神)と錬金術滅却師と虚)の間に生まれる
  • 母親がいない(真咲が死亡)
  • 名前がない(ホワイト)

の点は共通しているように思います。

更にカラーイラストでは全身に縫い目、首からボルトが露になっているデザインですが怪物を表すのに最も有名なデザインですね。これは映像作品では2作目にあたるジェイルズ・ホエール監督のユニバース製作映画「フランケンシュタイン」から始まったようです。

科学者(創造主)とそれにまつわる諺・慣用句
さて、これまで比較してきた怪物の科学者(創造主)の立ち位置にあたるBLEACHのキャラクターは一体誰なんでしょうか。
それは藍染惣右介だと私は考えています。科学者と生命に対する執着だけをみると涅マユリやザエルアポロ・グランツのようにも思えますが、黒崎一護に限定した場合だと藍染がそれに当たる存在だと思います。他の候補としてユーハバッハや浦原喜助があがると思うのですが、出生に関してはユーハバッハの与り知らないところでの暗躍ですし、浦原も受身に回っているように感じました。

なにより「君こそが私の探究に於ける最高の素材になる」(46巻397話「Edge of the Silence」)という発言があるのがポイントだと思ってます。

ここまで綴っておいてなんですが、一護の魂魄のバランスを崩し境界を破壊していくルキア、浦原の話も別枠で話さないといけませんね。

更に同じ流れを踏み誕生したのがCan't Fear Your Own Worldの彦禰です。それと銀城もその要素があるようにも思いますが、自分の中で結論付いていないのでここで詳しく述べられません。BLEACHにおける科学者と子供(または創造)についてはまた順を追って説明できたらと考えています。

藍染惣右介と今回の話を無理やり繋げて考えたときに面白いことに気付きました。
出藍の誉れ」、「青は藍より出でて藍より青し」という諺があります。

「青は藍より出て藍より青し」 - 染料の藍は黒や茶の様な色があり、青みがあまり無い。しかし染め出すと非常に美しい青に染まる。と言うことから、親(師匠)よりも優れる事を言う。出藍の誉れとも。

弟子が師匠の能力や技量・知識を追い越す、優れているという意味ですが「フランケンシュタイン・コンプレックス」とも少しテイストが似ています。

フランケンシュタイン・コンプレックス」- 創造主(アブラハムの宗教の“神”)に成り代わって人造人間やロボットといった被造物(=生命)を創造することへのあこがれと、さらにはその被造物によって創造主である人間が滅ぼされるのではないかという恐れが入り混じった複雑な感情・心理のこと。

 この二種類の用語を見たときに頭の中で浮かんだ景色が破面篇の最終局面で最後の月牙天衝藍染を圧倒する一護(48巻)、「私を止めた者が よもや私より先に霊王宮に立ち入るとはな_つくづく許し難い男だ 黒崎一護(69巻624話「THE FANG」)でした。

 久保帯人先生の遊び心や思わぬ仕掛けはこういったところにも潜んでいるのかもしれません。今回第一回目として大胆にもカラーイラストからの考察を行いました実はこのカラーイラストについてまだ議題にしたいことはあるんですがまた機会ある時にしようかなと。こんな感じで小さなことから色々なセリフなどに繋げて「ここはこうなんじゃないか」「別の視点からみてみると」という風にやっていこうと思います。

*1:Can't Fear Your Own Worldで詳しく記述があります